MateriApps LIVE!のインストール

何らかのシミュレーションをするとき、最近は様々なフリーソフトウエアがあるおかげで、誰でも気軽に試すことができるようになってきました。 しかし、様々なフリーソフトウエアを試してみる時にまず最初の障害となるのが、そのソフトウエアのインストール作業です。インストールをするのに失敗して、結局投げ出してしまう、ということはよくあることだと思います。 例えば、第一原理計算ソフトウエアにはQuantum EspressoやABINIT、Open MXなど様々なフリーに使えるソフトウェアがあります。しかし、これらがどんな感じなのかを試そうとした時にそれぞれのインストールに四苦八苦して結局ソフトを試すことができない、ということはあるあるだと思います。 そんな時に便利なものがあります。それは、MateriApps LIVE!です。 https://cmsi.github.io/MateriAppsLive/ このサイトの説明には、

MateriApps LIVE!は、手持ちのノートPCなどを用いて、気軽に計算物質科学アプリケーションを試せる環境を提供します。MateriAppsアプリケーション、OS (Debian GNU/Linux)、エディタ、可視化ツールなど、チュートリアルを始めるのに必要な環境は全て1本のUSBメモリに収められています。

とあります。 これはVirtualBoxという仮想PCソフトウエアのディスクイメージで、MacでもWindowsでもLinuxでも、VirtualBoxをインストールすれば、このディスクイメージを読むことができます。 VirtualBoxでは、Linuxが立ち上がります。 そのLinuxの中に、

ABINIT, AkaiKKR, ALPS, CP2K, DCore, DDMRG, DSQSS, ERmod, feram, Gromacs, HPhi, LAMMPS, mVMC, OpenMX, Quantum ESPRESSO, RESPACK, SALMON, SMASH, TRIQS/CTHYB, TRIQS/DFT tools, xTAPP

が入っています。つまり、すでに有名なソフトウエアがインストール済みです。 ソフトウエアの詳細については https://github.com/cmsi/MateriAppsLive/wiki/GettingStarted こちらをみるとわかりやすいと思います。

MateriApps LIVE!のダウンロードとVirtual Boxへの導入。

https://cmsi.github.io/MateriAppsLive/

から最新版をダウンロードします。具体的には、「Download LIVE! image」をクリックし、「Download Latest version」をクリックしてダウンロードしてください。 2.5GBくらいあります。

ダウンロードできたら、Virtual Boxに導入します。 Macの場合には、ダウンロードしたファイルをダブルクリックすれば導入できます。Windowsでも同様と思います。

fig1

ここで、RAMというのがメモリです。コンピュータの中にコンピュータを作ることになるので、ここでのRAMは実際のメモリ以上にすることはできません。 ここがなるべく多い方が快適です。4GBくらいあれば良いかと思います。 また、CPU、というのは仮想マシンで使うCPUコアの数ですので、4コアあるようなマシンであれば2コアくらい割り当てておくと快適でしょう。 これらはあとで変更することができます。

あとはそのままで「インポート」を押します。 これでVirtual Boxに導入されました。

起動と最初にすること。

VirtualBoxで起動、のボタンをクリックすると仮想PCが起動します。 画面にログインwindowが出ますので、上にユーザー名user、下にパスワードとしてliveを入れるとログインできます。 画面が小さい場合には、角をドラッグしてウィンドウサイズを変更することができます。

日本語キーボード設定

デフォルトではキーボードが英語配列になっていますので、日本のキーボードを使っている方は、 左下のツバメみたいなアイコンをクリックして、System ToolsからLXTerminalを選んでターミナルを出し、

setxkbmap -layout jp

と入れれば日本語キーボード配列になります。 このままだと起動するたびに英語キーボード配列になるので、立ち上げたターミナルで

echo setxkbmap -layout jp >> .bashrc

と打って.bashrcに設定を書き込んでおきましょう。 あとは、Wikiを見るなり何なりで、色々試すことができます。

以後、「ターミナル」と呼ぶときはこのLXTerminalをさしますので、いつも同じように左下のツバメのようなものをクリックして立ち上げてください。

共有ファイル設定

https://github.com/cmsi/MateriAppsLive/wiki/GettingStartedOVA を参考にしました。 自分が使っているPCと、今の仮想PCとのファイルのやりとりには、共有フォルダを作るのが便利です。 自分のPCのどこかにフォルダを作っておき、そのフォルダがmateriappsという名前だとします。 この時、

  • VirtualBox マネージャー画面で MateriAppsLive-* を選択し「設定」
  • 「共有フォルダー」タブを開き、右側の「+」(新規共有フォルダーを追加します)をクリック
  • 「フォルダーのパス」の右側の「v」マークをクリックし、「その他」を選択。さきほど作ったフォルダmateriappsを選択
  • 「自動マウント」をチェックし「OK」⇒ さらに「OK」
  • 仮想マシンを再起動すると、上で選択したフォルダが、/media/sf_... の下に見える

という手続きで共有フォルダを作ることができます。以後はここにファイルを入れておけば、仮想PC側で開くことができます。逆も可能です。

画面サイズの設定

そのままだと画面が小さすぎるとか大きすぎるとかあると思います。 これを簡単に調整するためには、メニューの「view」を選び、「Virtual Screen」を選んで、適当なものを選びます。 最近のRetina DisplayのMacだと解像度が高すぎて字が見えない場合もあると思いますので、その場合は「Scale to 200%」などを選ぶとよいでしょう。

便利なTips

仮想PCの終了

仮想PCを終了するためには、左下のツバメのようなものを押して、「log out」を選び、shut downをすればできます。

仮想PCの開始

Virtual Boxを立ち上げた状態で、MateriApps Live!を選び、「起動」を押します。